重曹クエン酸はもう古い、時代はホウ砂だ(第7回)
新たな過激化の波
「重曹クエン酸はもう古い、時代はホウ砂だ」――。SNS上で突如として広がり始めたこの主張は、多くの人々に困惑を与えました。これまで定番とされてきた方法を否定し、洗剤や殺虫剤の原料として知られる毒物へと人々を誘導する奇妙な動きの裏には、一体何が存在するのでしょうか。
手軽な民間療法として広まっていた重曹クエン酸を「超える」と謳い、さらに危険な物質を差し出すこの現象は、単なる健康法のアップデ―トではありません。
重曹クエン酸とホウ砂には物質的には何の関係もありませんが、実は反ワクムーブメントという点において見逃せない関係があるのです。
今回は、「重曹クエン酸水を超える」という言葉の裏に隠された、発信者たちのいびつな心理構造を解剖します。
ホウ砂とセットで語られる「重曹クエン酸への異常な敵視」
Section titled “ホウ砂とセットで語られる「重曹クエン酸への異常な敵視」”ホウ砂の飲用を勧めるインフルエンサーや医師たちの発信を見ると、必ず「重曹とクエン酸は危険だ」という主張がセットで出てきます。
彼らは「普段は重曹クエン酸をやめてホウ砂を飲め。重曹クエン酸はアシドーシスが進んだときだけの最後の頼みの綱にしろ」などと必死に訴えかけています。
もともと重曹クエン酸ネタは、ネット上の情報を盗んできた目立ちたがりのインフルエンサーが「自分が考え出した、自分は天才だ」と言わんばかりに盗用し、ユーザーの迷惑も考えずアフィリエイトリンクを他人のタイムラインにベタベタ貼りまくっていました。
おかげで、重曹とクエン酸について調べようとしても、彼のアフィリエイトリンクしか出てこなくなる有様でした。
インフルエンサーは人気者になろうと、盗んだ情報に虚偽という味付けを加えて劣化させた上、素人にすらツッコまれる浅い論理を展開。
さらにはネタの仕入れ先を変えたのか、謎の毒汁フルボ酸や過剰摂取リスクが高い自称「バランスのとれた微量元素水」まで売りさばき始めます。人は水を売るようになったらだいたい終わりです。
この「バランスの取れた微量元素水」というアイデアも、実はホウ砂ネタから来ています。「ホウ素という微量元素は普段の生活で摂り逃がすからホウ砂を飲むべきだ」という反ワク医師のガセネタを鵜呑みにした結果でした。
インフルエンサーの肥大したプライドと「危険な模倣」
Section titled “インフルエンサーの肥大したプライドと「危険な模倣」”重曹クエン酸ネタもネットから万引きしたインフルエンサーでしたが、盗品を見せびらかしているうちに、SNSで事情を知らないフォロワーにチヤホヤされるようになり、重曹クエン酸の効能とガンの治療法を突如(ネット上で)発見・考案した第一人者・天才と本気で錯覚し始めます。こうして身の丈に合わないプライドだけが肥大化していったのです。
取り巻きにチヤホヤされているうちに、自分には特殊な能力や使命があると勘違いしていくカルト宗教の教祖と同じ構造です。
自称「稀代の天才」となった彼にとって、「他人のホウ砂ネタをパクった」と思われるのはプライドが許しません。
そこで、「ホウ砂単体ではなく、ホウ砂を含んだすべての元素を摂ればいいじゃないか」という、パクリと悟られない浅いパクリアイデアを思いつくに至ります。
「ホウ素だけでなく、ヒ素もストロンチウムもバランスよく含んだ僕のお水で摂ろうよ♡」と嬉々として呼びかけますが、ヒ素もストロンチウムもヤバいことでおなじみの元素です。
彼は素養がないので自らが言っている意味すら理解していません。
そもそも微量元素は適切な摂取量のコントロールが極めて難しく、意図的な補給を行えば簡単に上限をオーバーして深刻な健康被害を引き起こします。
危険だからこそ「微量」なのであり、積極的に単体で摂るようなものではありません。日常の食事で必要量は十分に賄えているのです。
重曹クエン酸ネタは、安全性が担保されていたからこそ根強い利用者が存在していました。
しかし、盗み出した情報に自分の名前を貼り付けてばらまき、名声と金を手にせしめることしか頭にない彼には、安全性を検証するという考えなど毛頭ありません。
重曹クエン酸ネタやがんの治療法を考案する天才賢者が、わけのわからない水を売り出すのは不自然です。重曹クエン酸ネタで十分なはずです。今まで何もしていなかったぽっと出が、次から次へといろんなものを考案してくること自体が疑わしいです。
彼にあったのは「どれだけ自分が儲かるか」という欲望だけです。微量元素の副作用や危険性を調べる能力も素養も思慮も皆無です。
重曹クエン酸とは異なり、ホウ砂などの微量元素ネタや、謎の毒汁フルボ酸などが安全性を一切保証されていない危険な代物であることにも気づかなかったのです。
盗品市での万引きと「重曹クエン酸」の汚損
Section titled “盗品市での万引きと「重曹クエン酸」の汚損”重曹クエン酸ショップでの万引きがバレて締め出され、仕入れに困ったインフルエンサーの彼は、「重曹クエン酸クラスの優良ネタなんてまた手に入るだろう」と意気揚々と別のショップへ向かいます。
そこは「反ワク」という看板を掲げ、アメリカから直輸入したように見せかけた小綺麗なセレクトショップでした。
店長は国家資格をもっていて客の入りも多く、商品は綺麗に清掃されて梱包も丁寧です。有名人の写真まで飾ってあり、優良店にしか見えません。陳列された商品には、なぜか見覚えのあるものもありました。
その店の実態は、日本国内のみならずアメリカから拾ってきた有害粗大ゴミを売りさばく盗品販売店でした。彼が万引きして自分の店に陳列したはずの商品までもが清掃されて、正規品のように陳列されていたのでした。
店長は当初、重曹クエン酸ショップに赴き、仕入れのために重曹クエン酸以外の様々な商品を万引きをしていました。万引きしたとわからないように、微妙に表示を変更して商品を陳列していました。特に「反ワク」という商品が大人気で、「反ワク」につられて、万引きした商品に巧妙に混ぜ込んだ独自製作の有害商品も売れ、客はどんどん増えます。
店長は重曹クエン酸ショップの「重曹クエン酸」には人気があるので内心で嫉妬していましたが、重曹クエン酸を万引きするわけにはいきません。万引きしたものとすぐにバレてしまうからです。
しかし我慢できなくなった店長は「国家資格を持っているから安心」と店ごと万引きしようとして店を破壊してしまい、さすがにバレて締め出されていました。
店を破壊したことは好都合でした。店の残骸の中から商品を火事場泥棒のように持ち去ることができたからです。盗んでいる姿を店外の防犯カメラに撮影されていたことには気が付きません。
競合と誤解していた重曹クエン酸ショップがなくなり初めは喜んでいましたが、重曹クエン酸ショップは仕入れ先です。
ある日を境に商品のランクが下がったとSNSで囁かれていましたが、優良仕入先を失ったためなのでした。
仕入先から万引きしすぎて仕入れできなくなった店長は、重曹クエン酸ショップの盗品が残っているインフルエンサーの店で「クエン酸」を万引きをします。
重曹クエン酸ショップの存在はもうありません。盗んだクエン酸を陳列しても万引きとバレません。大喜びでセレクトショップ独自有害商品の有機ゲルマニウムに混ぜ込みました。
その有機ゲルマニウムの説明書には「この有機ゲルマニウムにクエン酸を混ぜると危険な無機ゲルマニウムに変換されるのでやめてね」という記述がありました。店長は人気と金欲しさに焦って読み落とし、まんまとクエン酸を混ぜるという禁忌を犯す結果となり、いまだに気が付かない有様です。
「クエン酸」の万引きには成功したものの、商品が圧倒的に足りません。そこで目をつけたのがアメリカのゴミ置き場でした。「ご自由にお持ちください」とばかりにゴミが転がっているので、仕入れに困ることはもうありません。そして、アメリカまで行って粗大ごみを持ってくるようになったのです。そのアメリカの粗大ゴミの一つが「ホウ砂」でした。
――インフルエンサーはそんな店とも知らずに有害な不良品「ホウ砂」を万引きしたのです。インフルエンサーは「ホウ砂」の有害性に気づく知性すらなく、盗んだ「ホウ砂」を「微量元素水」と改良したつもりになって商品を売りさばくという愚行を繰り広げたのです。
あげくには「お話し会」などと称して客を集め、飲み方を指図するという名目で無資格で診断・処方行為など医業を行うなど、医師法に抵触する暴走を繰り返しました。
その結果、あの下品なインフルエンサーが言っているのだから「重曹クエン酸ネタは嘘」と叩かれるようになります。
自らの欲を満たすためだけに行った一連の品のない行動によって、重曹とクエン酸の価値は散々毀損されてしまったのです。
そして今回の「重曹クエン酸を超える」という言説は、まさにこうして荒らされた土壌につけこんだものです。重曹クエン酸とホウ砂は用途も性質も明らかに異なる物質であり、置き換えさせること自体が不自然極まりありません。
反ワク医師には「クエン酸と重曹の存在感をホウ砂で上書きしたい」という身勝手な目的があり、その裏事情も愚かな動機も知らないインフルエンサーたちが「重曹クエン酸なんて甘い、時代はホウ砂だ」と得意気にはやし立てているのが現実です。
既存の成功例に対する対抗心と否定の論理
Section titled “既存の成功例に対する対抗心と否定の論理”重曹クエン酸は、上記の愚かなインフルエンサーが広める前から、安価でどこでも手に入るため、独自の健康法を求める人々の間で一定のポジションを確立していました。
しかし、SNSで影響力を競い合う一部の発信者や医師たちにとって、すでに他人が広めて定着した方法をそのまま推奨することは、自らの独自性や存在感を損ないます。
そこで彼らは、「重曹クエン酸は長期的に飲むと体に不調をきたす」「実は隠された罠がある」といった不安を煽ったのです。
定着した評価をあえて覆し、周囲を恐怖させることで、重曹クエン酸を捨てさせ、自分たちの新しい主張を聞き入れさせる隙間を作り出します。
刺激と過激さを増していく「過激化レース」
Section titled “刺激と過激さを増していく「過激化レース」”先行するアイデアを否定した後に用意されるのが、「それを上回る秘薬」としてのホウ砂です。
本来であれば口にしてはならない非食品を持ち出す行為は、一般社会の常識に対する強烈な挑発として機能します。
常識外れの危険な選択肢をあえて提示することで、「自分たちは既存の常識に縛られない特別な知識を持っている」という選民意識をコミュニティ内に作り出し、支持者の関心を一気に引きつけようと反ワク医師が試みたのです。
ワクチンに反対するのも逆張りですが、このホウ砂を持ち出す行為もまた逆張りの一環です。
評判が良いものをあえて捨てさせ、より刺激的な毒へと乗り換えさせるプロセスは、受け手の判断力を奪い、特定の人物への依存度を深めさせる効果を持っています。
救済ではなく「注目集め」のための暴走
Section titled “救済ではなく「注目集め」のための暴走”「重曹クエン酸水を超える」という言葉には、健康への配慮などなく、話題性を独占したいという功名心が如実に表れています。
この問題の本質は、どこまでいっても「他人の著作物の盗用」から始まります。
盗用した知識をひけらかすことで、SNSなどでちやほやされます。その結果、実力もないのに自我が肥大化していきます。
さらには自分を天才と錯覚し、かつて自分が盗んで披露したはずの知識にすら嫉妬し始めるのです。
「自分は称賛される天才なのだから、あの盗んだ知識を上書きして更新できる」と増長し、SNSでの称賛が麻薬のように手放せなくなっていきます。
そして、さらなる称賛を得ようと、浅知恵で得体の知れない薬物や浅薄なガセネタを披露するようになるのです。
そのガセネタが「ホウ砂飲め」です。盗んだ知識でしか称賛を得られない者に、それを超える価値を提供できるわけがありません。思い上がって盗品を超えようとした哀れな結果がホウ砂被害です。
反ワク医師がどれほど「『元素転換説』のようなもの」「『千島学説』のようなもの」「『がん治療の嘘』のようなもの」を披露して称賛を浴びようとも、その評価は「他人の知識をかすめ取り、自分のもののように偽った行為」に向けられていることは覆りません。偽りの称賛に振り回されているだけに過ぎないのです。
ちなみに「クエン酸重曹ネタ」「『元素転換説』」「『千島学説』」「『がん治療の嘘』」と「ホウ砂、ゲルマニウム、フルボ酸で治る」は延長線上どころか一切の関係がありません。
「ホウ砂やゲルマニウム、フルボ酸が効く」という発信の実態は、「反ワク医師個人が思いつきで行う人体実験に参加してね、どうなっても知らないよ」と言っているのと同義です。
盗品にコバンザメのように姑息に紛れ込ませる手法を見れば、それがどのような人格によるものか容易に想像がつきます。
この歪んだ構造を見抜けない無知なインフルエンサーが「ホウ砂飲め」を真に受け、拡散し加害行為の片棒担ぎの共犯となり、最終的に事情を知らない素人が騙されて危険な目に遭っていくのです。
人々の健康や生活を守ることよりも、SNS上での拡散数や売名が優先し、危険なだけの毒物をばらまく――反ワク医師個人が目立つためだけの道具として危険な毒物が利用され、まんまと乗せられた人々が身体を危険に晒していく構造は、あまりにも滑稽です。
次回は、なぜ反ワクは、ワクチンの危険性を煽る異常の熱意で、重曹クエン酸を「超える」と対抗心を剥き出しにし、既存の成功例を消去することに執着するのか、その言葉の裏に透けて見えるさらなる心理に迫ります。
